アルカンの基礎

化学

こんにちは!やーるー科学大学 学長のイエモリです。

本日は前回の引き続き。有機化学の基礎講座として、アルカンについて触れていきましょう。

本日進めていくのは以下のフロー。早速進めていきましょう。

アルカンのフロー 穴埋め

図1. アルカンのフロー全体図

最も単純な有機化合物であるメタン(methane)を考えていきます。

メタンは代表的なアルカンです。

炭素数が増えていくと、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、、、と続いていきます。

何のことかさっぱりな方はこちらへ。

さて、それでは一緒に図1を埋めていきましょう。

様々なアルカンの生成方法

図2. アルカンの生成

天然ガス

上から順にみていきましょう。メタンは天然ガス(Natural Gas)や原油から取れます。

街でよく見る(?)トラックに記載のLNGというのは、Liquefied Natural Gasの頭文字をとっています。液化天然ガスを運んでいるということですね。

さきほどからメタン、メタンと言っていますが、これはメタンガスのこと。都市ガスとも言いますね。ガスなので当然気体です。

メタンと同じアルカンで、私たちが火を使うときに使うガスがもう一つあります。プロパン(propane)です。自分の家のガスがメタンなのか、プロパンなのかはとても重要です。

例えば、ガス漏れしたことを想定してガス感知器を設置する場合感知器をコンロの上に設置するのか下に設置するかはガスの種類によって異なっています。メタンは分子量16に対して、プロパンは分子量44空気の平均分子量は29程度ですから、メタンガスは浮くのに対してプロパンガスは空気よりも下のほうに行くことが分かります。プロパンガスをご利用中の場合は感知器は下のほうに設置しましょう。

あなたの家では正しくガス感知器が設置されていますでしょうか。

原油

さて、話を元に戻しましょう。メタンは天然ガスから得る他、原油からも得ることができます。

分留、これは分留蒸留の略で、沸点の違いを利用して何度も何度も沸騰させながら気体を除去していきます。その過程でメタンが手に入るんですね。

以上2つが工業的なメタンの生成方法。

酢酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの反応

次に、実験室での方法を化学式で見ていきましょう。

化学式は以下の通り。骨格式で表しています(はじめての方はごめんなさい。骨格式についての詳細は後日別の投稿で)。

NaOHはご存じ水酸化ナトリウムで、とても身近な塩基(アルカリ)です。

CH3COONa、酢酸ナトリウムも固体ですので、固体同士で混ぜ合わせ、熱を加えます。

すると、下図のように炭酸ナトリウム、Na2CO3 が取れ、メタンが出てきます。

今まで学んだことを、アルカンのフローへまとめましょう。

アルカンの生成まとめ

図3. アルカンの生成完成図

今までは、アルカンを生成する方法を見ていきました。

次に見ていきたいのは代表的なアルカンとの反応です。

ハロゲン化

ハロゲンを覚えていますか。

17族の元素で、F, Cl, Br, Iがハロゲンの代表元素たちです。左から、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素電子を引っ張る力が強い子たちです。どうしてそんなに電子が好きかは、こちらのブログを見てみてください。語呂合わせも書いています。

さて、アルカンの代表的な反応、ハロゲン化(halogenation)

クロロ化

今回は塩素(chlorine)を例にとります。塩素が付くのでクロロ化(chlorination)といいます。

メタンと塩素を入れて、UV(紫外線)を当てることで、クロロメタン(chloro methane)が生成します。また、図中の生成物は、クロロが一つなのでモノクロロメタンとも言います。

図4. クロロ化反応

クロロの数が増えるごとに、ジクロロメタン、トリクロロメタン、最後は水素がすべて塩素に置き換わりテトラクロロメタンとなり、反応が収束します。

そうそう、言い忘れましたが、このクロロ化は水素塩素わる反応なので置換反応といいます。

早速表を埋めていきましょう。

図5. クロロ化反応②

以上で、すべての空欄がうまりましたね。

お疲れさまでした。

今回完成したアルカンのフローがこちら。

完成!アルカンのフロー

図6. アルカンのフロー完成

おまけ

トリクロロメタンは、結構身近(?)な化合物。

慣用名はサスペンスではおなじみクロロホルム(chloroform)です。

聞いたことはありますよね。

ハンカチにしみこませて後ろから、、っていうやつです。発がん性も認められているのでなんとも怖い話です。別の意味で。

古くは麻酔としても利用してたんだとか。危険性がわからない時代はなんでもありですね。

おわりに

いかがだったでしょうか。

もっともシンプルな有機化合物であるメタンを例にとってさまざまな化学反応を見てきました。

化学式レベルで学習すると、ただでさえ身近なメタンがもっと私たちの身近な存在に感じられたのではないでしょうか。

机の上で勉強することが身の回りに存在していることを感じるともっと化学が好きになれますよ。

今後もやーるー科学大学では、化学や心理学に関するコンテンツを発信し続けます!お楽しみに。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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